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国家の背骨が欠けてないか(元将軍たちの叙勲を考える)

2011/11/29 14:59

 

 113日に発表された生存者叙勲における元自衛官の処遇に違和感を覚えた。元陸上自衛隊北部方面と東部方面の総監(陸将)、空自の航空総隊司令官(空将)といった元将軍たちが受章したのは瑞宝中綬章だったことに、である。

 叙勲とはそもそも、自己を犠牲にして国家・社会に尽くすような行為を評価するために存在している。自衛官は入隊時、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め…」と宣誓する。

国家の命令があれば、どんな危険な任務に対してもしり込みせず、国家・国民の負託にこたえる。このことは東日本大震災での救援や原発への放水作業などで国民の目に焼きついた。国家が適正に評価しなくてはならないのは、自分を犠牲にして公共のために尽くした行為だ。。それがなければ、国家への忠誠心が薄まるのは避けられない。

米国では最高位の勲章は現役の軍人だけが叙勲対象であり、大統領でももらえない。しかし、日本国はそうした栄誉を自衛官に授けようとはしていないのである。

今回最高位となった桐花大綬章は河野洋平元衆院議長に授与された。大綬章は5人、重光章は45人。それに次ぐ中綬章は353人。元将軍たちと並び、各大学名誉教授や各省庁の局長経験者などが名を連ねる。

背景には制服組トップの統合幕僚長ですら、任免が天皇から認証される「認証官」として処遇されていないことなどもある。憲法で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とうたっていることも関係している。

栄典制度は平成15年、勲一等、二等など数字による等級を排し、危険な公共業務に従事した人たちの功労を評価するなどの改革が行われたが、もっとも重要な「国家がどのような行為を尊い行為として考えているか」はあいまいのまま放置されてきた。その基準を明確に示すことができないこと、いわば国家の背骨の欠落が日本の迷走と混乱の一因ではないか。

 

 

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日露首脳が14年前、北方領土問題解決のためにこんなやりとりをしていた

2011/04/26 18:21

 

 北方領土が日本に一番近づいたとされる1997年から98年にかけての日露のトップ交渉について、当時の日本外交の実務的責任者であった丹波實元外務審議官(元駐露大使)は25日までに、産経新聞に詳細を明らかにした。

 注目されるのは、9711月1日のロシア・クラスノヤルスクでのエニセイ川船上会談でエリツィン大統領が橋本龍太郎首相に対し、任期中に北方領土返還のための行動計画をまとめると提案したことだ。橋本首相も合意したが、行動計画の中身は不明だった。丹波氏は首相に対し、大統領に確認するよう求めたものの、実現しなかった。

丹波氏によると、大統領は「今日を1855年の日露通交条約(日露が国境を択捉島とウルップ島との間に定めた)と比べることができる歴史的な一日にしたい。自分は東京宣言(エリツィン大統領が1993年訪日し、当時の細川護熙首相と署名。四島を明記し、「歴史的・法的事実」「法と正義の原則」などに基づき、領土問題を解決するとした)を暗記するくらい覚えている。前進が必要だ。(20005月までの)自分の任期中にこの(北方領土)問題を解決したい。そのための行動計画をつくろう」と語った。

これに対し首相は「大変立派で大きな考えだ。自分も賛成したい」と応じ、大統領は「合意ができた。シャンパンを飲もう」と語った。このとき、丹波氏は「東京宣言しか言っていない。行動計画の中身を聞いてください」と2回耳打ちし、首相は「おれに任せろ」と述べたという。

当時のロシア首脳が北方領土返還に向けての道筋を示す行動計画作りを日本側に提案し、一定の合意に向けて前進しかけたものの、行動計画の内容については詰め切れなかった。丹波氏は「もう一歩突っ込んでいたら、結果はどうなったか。あの時も思い、今もそう思っている」と述べた。

 984月の川奈会談については、橋本首相の提案が「全部口頭であり、ペーパーがない」としたうえで、提案内容について「もしロシアが日露間の国境線がウルップ島と択捉島との中間線にあるということを平和条約に明記するのであれば、日本は別途合意するまでの当面の間、ロシアの四島支配を認める」と説明した。エリツィン大統領は「大変興味ある」と述べたものの、結局、持ち帰って検討することになった。その後、橋本首相は辞任し、ロシアは「日本の極端な立場」と拒否した。

丹波氏はまた、四島返還に対し「あせらず、あわてず、あきらめずだ。がまんの時期と思う。日本の一番の問題は腰がふらつきすぎていることだ。日本が四島返還を要求しているのは歴史の正義を求めていることだ」と語った。

日露両国の首脳が以上のような発言を行ったことは日本人としてきちんと知っておくべきことだと思う。インタビューの内容を紹介した。

 

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危機を呼び込んでいる(「風を読む」から)

2010/05/05 10:24

 

 日本周辺にきな臭い風が吹き始めている。日本に「力の空白」が生じていると周辺国がみて、探りを入れているためである。

 目に見える動きを最初にみせたのは李明博韓国大統領といえる。4月2日、日本固有の領土でありながら、不法占拠している竹島韓国は独島と呼ぶ)の支配強化を積極的に検討すると表明した。

それからまもなく政府系機関の韓国海洋研究院が竹島周辺海域の海底地質を調査しだした。ボーリングで調べた岩盤の上に海洋科学基地を建設するためだという。竹島のヘリポートも改修される。これまでの2倍以上の重量25トンの軍用輸送ヘリが離着陸できる。今年9月に完成予定だそうだ。

海底地質調査に対し、外務副大臣が電話で抗議はした。だが、岡田克也外相は「不必要な摩擦を招かないため、その言葉(不法占拠)を使わないと心に決めて交渉している」(衆院外務委員会)と語るのみで動こうとしない。李大統領は昨年来、鳩山由紀夫首相や小沢一郎民主党幹事長と会っている。鳩山政権指導部の竹島への関心の低さと毅然とした対処をとりそうもないことを見据えた行動と読めなくはない。

日本の反応を露骨に探ってきたのは4月半ば、ミサイル駆逐艦など10隻を南西諸島から沖ノ鳥島近海にまで進出させた中国海軍だ。中国の艦載ヘリの海上自衛隊護衛艦への異常接近に対し、鳩山首相は胡錦涛主席に警告する機会を自ら放り出した。こうした軍事威嚇に「慣れるべきだ」との中国紙の論評は、日中の力関係の変化と本音を如実に示している。

ロシア軍機も1月、与那国島周辺空域に初めて進出し、空自機が緊急発進(スクランブル)している。日米同盟を揺るがしている鳩山政権の無定見、非力さ、そして国を愛する心のなさが、いかに危機を呼び込むかをおわかりいただけるであろうか。

 

 

 

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彼は慶応を出た田中角栄よー記者ノートから

2010/04/30 17:38

 

 日本のリーダー選びを考えるたびに思い出すのは、23年前の出来事である。昭和621019日、中曽根康弘首相は後継の自民党総裁として竹下登幹事長を指名した。これは竹下氏、安倍晋太郎総務会長宮沢喜一蔵相のニューリーダー3氏の話し合いがまとまらず、後継指名を中曽根氏に一任したためである。

この情けない選び方は、3氏のふがいなさに加え、そもそも政策論争を通じ、指導者の資質を徹底して問うことがほとんど提起されなかったことにもよる。

中曽根氏への「忠誠心」競争を経て、竹下氏の調整力や面倒見のよさに軍配が上がったことは、リーダーはパイの分配を考えていれば、よいといった風潮が色濃いことを物語っていた。

このことへの異見を竹下氏に述べていたのが、44歳の小沢一郎氏であった。田中派を割り、竹下派を誕生させた立役者の一人で、最側近だった。

「民主主義の基本からすれば、前総裁に白紙委任するのはよくない。ちゃんとしたプロセスを踏んで総裁選をやるべきだ」「勝つ自信はある。たとえ負けても納得がいく」。政治部の駆け出し記者にこう語っていた。

冷徹なリアリストは、国家の自立やタブーへの挑戦もよく口にした。

「日本自身が転換期にきており、明治維新以来120年たった制度や仕組みを次の21世紀に耐えられるものに作り上げねばならない」

それからめきめき頭角を現していった小沢氏だが、今は、選挙のための利益誘導や自らの権力保持衝動にすべてを呑み込まれているようにみえる。自民党幹事長室のベテラン女性職員はかつて「彼は慶応を出た田中角栄よ」と評していたが、やり手の金権政治家に共通点を見出したのだろうか。あの「普通の国」はどこにいってしまったのか。

国を背負うリーダーを政策で鍛えぬく仕組みはいまだに確立できていない。そのことが今の政治の混乱と混迷を生み出している。

 

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海の男たちの「戦後」が終わった

2009/05/12 08:47

 

 戦後、長く続いていたわだかまりが、ようやく氷解したといってよいのだろう。3月14日、広島・呉基地から海賊対処に出港した護衛艦2隻に対し、日本船主協会が「ありがとう!海上自衛隊」という青色の横断幕を掲げた。これは64年ぶりに海自と海運業界が和解した証しなのである。

 先の戦争で亡くなった日本の船員は6万余人。失われた船舶は約2500隻、800万総トンを越える。軍人の損耗率(参加した員数と戦死者の比率)は陸軍20%、海軍16%といわれる。その中で船員の死亡率は43%に達した。艦隊決戦を作戦の中心としていた海軍が、商船隊の護衛に力を注がなかったためである。

 商船隊壊滅による不信感は、海軍を引き継いだ格好の海上自衛隊に向けられ、海運業者らでつくる日本船主協会と防衛省・自衛隊はほとんど没交渉だったという。

 変化がみられたのは、アフリカ・ソマリア沖で海賊被害が続発してからだ。欧州とアジアを結ぶ大動脈を運航する日本関連船舶は年間約2000隻を数える。昨年はうち3隻が海賊に銃撃などされた。国連決議に基づき、EU欧州連合)加盟国などが海軍艦艇を出動させ、日本関連船舶は護衛を頼み込んだ。肩身の狭い思いも少なくなかったという。

 今年1月、同協会と全日本海員組合は連名で、船舶と船員の生命の安全確保のため、現行法による海自艦艇の早期派遣を求める要望書をまとめ、初めて防衛省にも出向いた。

 護衛艦を見送る式典には前川弘幸会長が初参加し、こんな談話を発表した。「現場の乗組員にとり安心感ははかり知れない。(派遣は)わが国の人命、財産を保護する尊い任務です」。船員や日本のためにリスクを担おうという海自の姿が、海の男たちの「戦後」を終わらせた。

 

 

 

 

 

 

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北極海航路はチャンスではないか

2009/01/12 09:55

 

 北極海航路という夢のような話が、地球温暖化に伴って現実味を帯びてきた。実現にはなお多くのハードルがあるものの、資源開発も絡み、主要国のパワーゲームはし烈さを増している。

 日本にとってメリットは大きい。横浜ドイツ・ハンブルク間の航行距離は現在のスエズ運河経由、約2万㌔を約1万3000㌔に短縮する。海賊の心配もない。北極海航路の玄関口である列島は、貨物の集積基地にもなっていく。

 資源でも、その多くを海外依存する日本にとって供給先確保の手を打てる。北緯60度線が通る極東ロシア・ラマダン以北のツンドラに金、銀、ダイヤモンド、石油などが豊富に埋蔵されている。

 これらは、21世紀後半までに北極海の晩夏における海氷がほぼ完全に消滅するなどを予測した2007年の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」に基づく。予測は少しずつ現実化している。

 先行しているのは、北極圏開発のルール作りだ。ロシア米国、カナダ、北欧諸国8カ国は1996年、北極協議会を設立した。英仏独など6カ国がオブザーバーだ。中国も今年、新たにオブザーバーに加わり、自国に有利なルール作りでしのぎを削る。

 姿が見えないのは日本だ。参加を誘われながら、なぜか応じてこなかった。

 昨夏には米運輸省のコノートン海事局長が訪日し、北極海航路実現へ日米協力を訴えたが、日本政府はほとんど反応しなかった。担当部門が明確でないことなどを理由とする「お役所」仕事がかいま見える。関連業界もロシア相手の難渋さを察知して腰を上げようとしない。だが、困難におじけづいていたら、未来は開けない。4月の閣僚会合に向け、国家戦略を固め、巻き返しを図るべきである。

 

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性急にすぎないか麻生評価

2008/12/20 09:46

 

 

 麻生太郎内閣の発足から、20日で88日だ。現状は20%台に内閣支持率が急落し、「やめろ」コールが高まっている。定額給付金などをめぐる自らの発言のぶれ、失言などにより国民の間に失望感が広がっていることが背景にある。

 米国では政権発足から百日間をハネムーン(蜜月)といい、お手並みを拝見する。まだ実績が出てこない中、評価は時期尚早と判断しているからであろう。

 日本においては、麻生首相自らが米国発の経済危機を「百年に一度」の事態であり、スピードがポイントと述べたことと、第2次補正予算案の今国会提出見送りとの食い違いを突かれ、それで評価が固まった感がある。

 だが、麻生政権の評価は少し性急すぎないか。首相がこれまで為してきたことは少しにせよ、これから為そうとしていることも含め、きちんと評価する必要があるのではないか。

 支持率下落の契機になったのは、「首相、『踏襲』は『とうしゅう』です…」を見出しにとった11月11日付朝日新聞朝刊だ。

 ここから首相の資質を疑問視する報道一色になった。さて、これで資質を論じられるかどうか。

 立教大学の逢坂巌助教授は「月刊現代」(2009年1月号)で、麻生氏が落選時の1985年から現在までの23年間、「嘉麻(かま)の里」という地方誌に2000字ほどの原稿を、ほぼ毎月にわたって寄稿していることを踏まえ、「筆者がなにより意外の念を覚えたのは、彼が『文士』であるということだ」「練達の『エッセイスト』でもある」と分析している。

 寄稿から引用してみよう。

 「私は正しい保守というか真正保守は、常に時代を見て、自らを改革せねばならないと確信しています。革新のように『全ての破壊の上に創造が有る』なんて叫んでいれば良い訳にゃいかず、新しい時代に合った日本を創らねばならないんです」(昨年11月号)

 「マスコミとか、自称識者と思っている人も、もう少し素直に物事を、特に日本という祖国の現実を見て、今や我が国は多くの分野で世界の先頭を走っていることを認めると、多くの事柄が見えてくるんじゃないでしょうか」(昨年1月号)

 これをどう読めば、誤読から知的水準を推し量るのが難しいことがわかる。

 石破茂農水相は先月末、自身のホームページにこう書いた。

 「自分が内閣の一員であるから言うのではなく、本当に麻生総理はよくやっておられると思います。直観力、先見性は並みの政治家が遠く及ばないところだとつくづく思います。最近の麻生バッシングには、『地位に就いている者を貶(おとし)めて自らを高からしむ』的な雰囲気が感じられる、と言ったら言い過ぎでしょうか」

 直観力と先見性とは何か。農水相に聞いた。答えはこうだ。

 2001年9月11日、米中枢同時テロを受けて、当時の小泉純一郎首相はテロとの戦いに関し、新法より、日本周辺での緊急事態対処法である周辺事態法を適用しようとしていた。

 石破氏が「アフガニスタンに周辺事態法適用は無理」と、自民党政調会長だった麻生氏にかけ合ったところ、麻生氏は「いろんなところに派遣しないといけないな。周辺事態法は変だ。新法をつくってほしい」と指示し、すぐさま小泉首相と直談判して了解を取り付けた。テロ対策特別措置法の誕生である。農水相は「あの決断がなかったら、日本の国際協力はなかった」とまで語った。

 むろん、首相就任前のことであり、これで評価は下せない。

ただ、11月15日の金融サミットで、麻生首相が表明した国際通貨基金IMF)機能強化のための最大1000億㌦融資の実行に対し、IMFが日本に感謝する特別声明を出したり、ブラウン英首相が「指導的な政治家にふさわしい立派な政策だ」などと歓迎したことには言及しておきたい。 

 ある政府関係者によると、経営者で、オタク文化がわかり、英会話が堪能な麻生氏は外交にはうってつけという。一昨年の北朝鮮の弾道ミサイル7発乱射に対し、国連安保理が非難決議を行った際も、当時の麻生外相は午前2時から同4時ごろまで、各国外相に電話をかけまくる日々が続いたという。

 問題は、首相の統治力だ。政権のたがを締め直し、歳出圧力に突っ走る与党をいかに抑え込むか。

 心配なのは、首相がなんとしても実現したい政策課題がよく見えないことだ。それを国民にわかるかたちで早急に示し、あとは解散権、人事権を行使すればよい。ここは歯をくいしばってほしい。時間はそう残されていないのだから。

  

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尖閣が危ういー中国調査船の領海侵犯はきわめて深刻な主権侵害だ

2008/12/10 12:23

 

 中国の海洋調査船2隻が8日、尖閣諸島沖の日本領海を9時間半にわたり侵犯し続けるという由々しき事態が起きた。

 海上保安庁の巡視船が無線やスピーカーで中国語による警告と退去要求を行ったのに対し、中国船は「自国領海内をパトロールしている」などと無視した。

 さらに魚釣島沖で1時間ほど停泊したほか、同島の周囲を時計回りに航行した。これらは国連海洋法で定められた領海での無害通航に違反した意図的な主権侵害行為である。

 これを放置しておいたら、さらにエスカレートした形で領海侵犯が繰り返され、日本の固有の領土である尖閣諸島が危うくなりかねない。きわめて深刻な事態に直面しているという認識を日本政府は持たねばならない。中国海軍艦艇が出現することがありうるからだ。日本は自らの領土、領海を守る国家意思が問われているのである。

 中国の行動の意図は不明だが、1992年の尖閣諸島を自国領土とした領海法を既成事実化しようとしているとも受け取れよう。

 1968年、東シナ海は有望な産油地域とする国連報告書が発表された以降、中国は石油探査、試掘、ガス田開発などを続けてきた。

 今年5月、日中両政府は共同声明で「共に努力して、東シナ海を平和・協力・友好の海とする」とうたい、翌月、ガス油田開発の合意をまとめた。だが、この合意も詰めの交渉に入れずにいる。

 「微笑」外交の傍ら、中国の戦闘艦など4隻は10月、津軽海峡を初めて通過し、11月には最新鋭のミサイル駆逐艦を含む4隻が沖縄本島沖を通って太平洋で作戦遂行する能力があることを誇示した。

 領海侵犯が一連の示威行動と関連している可能性も視野に入れ、日本政府は中国がさらにエスカレートしないように万全の備えを取らねばならない。

 現行法では巡視船は、領海侵犯した外国の政府公船に対し退去要求しかできない。今回、中国国家海洋局所属の2隻の調査船は夕刻に引き揚げたが、さらに居座った場合どうするのか。海上自衛隊に海上警備行動を発令して、領海から排除することなども考えておくべきだ。こうした備えを取ることなく、ただ傍観していれば、つけこまれるのが世の常である。

 麻生太郎首相は13日の日中韓首脳会談時に中国側に抗議するという。中国の領海法制定に対し、外務省は口頭による通り一遍の抗議で済ませたが、それを再び見るようなことはないと信じたい。

 

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「困ったときに助けてくれた」同盟だった

2008/12/08 09:17

 

  イラクアフガニスタンで戦い、傷ついた米軍人を招くバーベキューパーティーを、在米日本大使館が2003年から続けている。

 今年も5月17日、ワシントンの大使公邸には400人近い傷病兵が集い、すしやてんぷらにも舌鼓を打った。

 この場を盛り上げているのは、イラクで汗をした日本人関係者だ。その1人、二等書記官の江端康行さん(39)は2004年から翌夏まで、サマワの外務省事務所に勤め、給水車にアニメ「キャプテン翼」のシールを貼る事業を主導した(詳しくは本紙10月17日~21日付朝刊)。

 江端さんはワシントンに移った2005年秋、加藤良三大使(当時)から「貴重な経験を米国の人たちにも伝えてほしい」と勧められ、講演したことがある。

 約70人の参加者は講演後、「日本のそんな活動は知らなかった」「日本のように米国もピーアールを工夫すべきだ」などと語った。中でも鮮烈な印象だったのは、初老の退役軍人がこう語って握手を求めたことである。

 「困っているときに助けてくれるのが真の友人だ。本当にありがとう」

 当時は、イラク情勢が悪化し、撤退する国が続出していた。その中で同盟国・日本が踏ん張ったことに米国人として感謝の意を伝えたかったのだろう。

 パーティーでも江端さんは傷病兵とイラクの思い出を語り合い、「戦友」同士を実感するという。日米同盟が維持されてきたのは、こうした草の根交流が大きな基盤になっているからだ。それも日本がイラクでリスクを共有したことが大きい。先週発足したオバマ次期政権の外交安全保障チームに対し、日本が示すべきは「真の友人」という証しである。

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防衛力削減で日本は大丈夫か

2008/11/17 10:17

 

 

 10月18日朝、東京・市ケ谷の防衛省から見た空は澄み渡っていた。省内のメモリアルゾーンで営まれた自衛隊殉職隊員追悼式に参列した。麻生太郎首相などが献花し、遺族代表があいさつに立った。6月、帰らぬ人となった三等陸曹の父だった。

 陸曹は、静岡県の東名高速道路のフェンスから転落した陸上自衛隊車両の助手席に乗っていた。父は息子への思いをとつとつと語った。「将来の職務に大きな夢と希望を持っていました。祖国日本の繁栄を願って、24歳の生涯を終えました」。

 祭られたのは陸自など計7人の霊だった。昭和25年の警察予備隊以降、殉職隊員は1798人にのぼる。日本の平和と安全は、命がけで守る人たちによって絶えることなく維持されている。自由、民主主義、豊かさ…すべての基礎が国防にある。

 この国防の最前線がいま大きく揺らいでいる。相次ぐ不祥事はその表れでもある。月にまとまった政府の防衛省改革会議は背景をこう分析した。

 「自衛隊の業務量と人員配置がバランスを欠き、現場部隊等に日常的に過度の負担が課される一方、隊員の基礎的な教育が行き届いていなかった」

 第一線から聞こえてくるのもこんな叫びだ。「人も金も減らされ、仕事だけが増える」。

 実態はどうか。防衛費は平成14年度をピークに毎年減り続けている。14年度を100にすると昨年度は97。同じ期間、周辺を友好国で囲まれているフランスは126。ドイツは120。ちなみに米国は165、中国は公表ベースで206。周辺で削減しているのは日本だけだ。

 要員・装備も16年に策定された現防衛大綱での陸自の編成定数は15万5000人。前防衛大綱は16万人だった。海自護衛艦も約50隻を47隻に減らされた。 一方で自衛官には情報通信の進歩に伴う「軍事革命」(RMA)により高度で専門的な職務が求められている。自衛隊の役割も飛躍的に拡大している。無駄は省かなければならないが、組織の疲弊は覆うべくもない。

 問題はまだある。平成18年の骨太の方針は防衛費について①今後年間名目伸び率ゼロ以下の水準とする②自衛官実員の削減を明記した。信じられないことだが、この決定は防衛力に関する論議抜きで行われた。

 小泉純一郎首相が防衛費の大幅削減を指示し、だれも異論を差し挟まなかったからである。冷戦終結という「軍縮」気分と省庁横並びの歳出削減に対し、防衛省・自衛隊は「国を守る」論理で対峙できなかった。

 専守防衛などの政治スローガンに縛られ、日本を守るために必要な防衛力は何かをいまだに打ち出せないためでもある。

 要は、国防の論理をどう構築するのか。さらにはれっきとした軍事組織をどう位置づけるのか。こうした根本の問題に戦後、目をそむけてきたつけが、疲弊、さらには自衛官のモラルや士気低下という形で噴出しているように思えてならない。

 田母神俊雄前航空幕僚長が自衛隊の領域警備の必要性や集団的自衛権行使に言及したことは、航空防衛の責任者として当然な問題提起であろう。それこそが突き崩す壁だった。

 吉田茂元首相は晩年の著作「世界と日本」で防衛に関し「日本内外の環境条件の変化に応じて、国策の方向を改める必要をも痛感する。日本は政府当路も、国民も、国土防衛というこの至上の問題について、すべからく古い考え方を清算し、新しい観点に立って再思三考すべきであろうと思う」と記した。 現在の防衛力の実効性を検証して足らざるを大胆に補うときである。

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